東京オリンピックで活躍。 ピクトグラムについて。

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こんにちは。デザイナーの寺田です。
みなさんは、はじめて来たデパートで、トイレに行きたくなったとき どうやってトイレを見つけますか。 また、海外旅行で国外のデパートだったらどうするでしょうか。
店員さんに聞くこともあると思います。天井に吊るされている案内を見ることもあると思います。
天井に記されている案内は情報がたくさん載っているのにもかかわらず、なぜ見やすいのでしょうか。 そこには「ビジュアル」が大きく関わっています。
よく見るトイレのマークは言葉の代わりに使われる「ピクトグラム」というものです。

東京オリンピックもあと3年で開催されます。 外国人観光客がさらに増える今後、言語、文化や歴史の違う人たちにも情報を伝える 視覚的なデザインの価値を、考える機会が増えると思います。

 

ピクトグラムとは

目で見るだけで言葉の代わりになったり、言葉を補足する役割として使われます。
はるか昔、情報を伝えるためにどのような方法にするかと考えてビジュアルで表現しているものがあります。3万2000年前のショーヴェ洞窟の壁画です。
ピクトグラムは新しいコミュニケーションツールではないのです。

現代のような形になったのは、1920年代に、オットー・ノイラート(Otto Neurath)により作られました。彼は、哲学者・社会学者・政治経済学者とグラフィックデザインに関わることをしていた人ではありませんでした。
そんな彼がピクトグラムを発明したのは、教育の場で視覚的な印象を通して情報を伝えようとしたことがきっかけでした。

 

1964年 東京オリンピックで広まるピクトグラム

当時、今よりも英語が普及していないため、来日した外国人とコミュニケーションをとることが難しい時代でした。 そこで、田中一光氏、福田繁雄氏など十数人のデザイナーがピクトグラムを3ヶ月かけて熟考し作成したといわれています。
オリンピック史上初となるピクトグラムが開発されました。 そのため、この年にピクトグラムは日本に一般的に広まることになりました。 
今では世界共通で使われる「トイレ」のピクトグラムもこのときに作られたそうです。

 

インフォグラフィックスとの違い

インフォグラフィックスピクトグラムと図解を、よりビジュアル的に魅せるものです。
そのため、ピクトグラムインフォグラフィックスの要素の一部ということです。
意外と2つの違いを知っている人は少ないのではないでしょうか。

 

制作のポイント

デザイン作成において、どんな人が、どんな場所で、どんな目的で見るのかを明確にすることが必要です。ピクトグラムにも同じことがいえます。
作成時にはそのことを頭に置きながら、できるだけ作成するピクトグラムの内容を元にたくさんのキーワードを出していきます。

そのあとは、キーワードをもとにラフスケッチをたくさん描いていきましょう。
のちに、Adobe Illustratorなどのグラフィックソフトを用いて、データ化します。 作ったピクトグラムをすべて並べて比較し、全体のバランスを調整します。

ピクトグラムとして、まず目立つことを目指しましょう。
背景に馴染んでしまったりしていたら、伝える情報が伝わりません。

また、できるだけ無駄を削ぎ落としシンプルに作ることもポイントです。
細かいピクトグラムでは、大きく表示するにはいいですが、 印刷など小さく表示する際に、細かい部分がつぶれる可能性があります。
シンプルに作成した方が、縮小したときにも有効なデータになります。

 

イラストが描けない人でもつくれる方法

ピクトグラムは、イラストが描ける人ではないと作れないということではありません。
幾何学模様と少しの特殊形状でピクトグラムは作ることができます。

丸、四角、三角などを用いてパーツを作成し、そのパーツを組み合わせることで 複数ピクトグラムを作成しても全体に統一感が出ます。
例えばビルのピクトグラムは、長方形に小さい四角を入れていけばビルに見えてきますし、 人物も頭は丸を用いて、胴体・足・腕は四角形をもとに作成ができます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
デザイン関連のことは、どこか海外でブームになったものが日本にやってきたイメージがありますが、ピクトグラムは1964年の東京オリンピックがきっかけで広がったのですね。
嬉しくも、誇らしく感じます。
2020年に東京オリンピックが開催されますが、どのように街は、デザインは変わっていくのか待ちどおしいです。

 

参考サイト
http://fujita3blog.wp.xdomain.jp/2016/03/31/post-1081/
参考図書
「たのしい インフォグラフィック入門」櫻田 潤 (著)